不動産(マイホーム)を買えば家賃がいらなくなるというのは本当?
不動産(マイホーム)を購入すれば今まで大家さんに払ってきた無駄な費用である「家賃」が発生しなくなるからお得!というセールストークが主にマイホーム関連のトークとして聞かれます。ここでは、マイホーム購入と賃貸とでの経済的な違いを分析していきます。
マイホームをもてば家賃は要らないのか?
ここで、あなたが4000万円の宝くじに当たったと仮定して話を進めていきます。では、4000万円を持っている時、あなたは家を買いますか?賃貸生活を続けますか?また、どちらがお得だと思いますか?
家を買ったほうがいいよ。という方が主張する理由は大体こうです。「家を購入すれば家が資産として残る。さらに、家賃の支払いをする必要もない。でも、賃貸生活を続けた場合、毎月家賃を支払わなければならず資産として何も残らない。」不動産のセールスマンなどの常套句でもあります。
持家派と賃貸派のバランスシート(無借金時)
では、本当にこの主張は正しいのでしょうか?バランスシートという観点から検証します。
ちなみに、バランスシート(貸借対照表)とはその人の資産と負債を表にしたもので、企業の財務体質を管理する場合などで利用されます。「家計のバランスシートを作成する」などのページでは個人ベースでのバランスシート作成方法を説明していますのでそちらも参考にしてください。
持ち家の場合 Aさん | 賃貸生活の場合 Bさん | ||||||||
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上を見てもらえば明らかですが、バランスシートという面では、持ち家の場合も賃貸生活の場合も全く同じです。違いは、持ち家の場合、資産(借方)は固定資産。つまりストックの資産で、賃貸の場合は流動資産。つまりフローの資産であるというだけです。
このバランスシートにおける優劣は、それぞれの資産(借方)が将来生み出す利益によってみつける事ができます。仮に、賃貸生活を送る場合、その現金を有価証券(株式や債券)で運用したとした場合、それぞれの優劣は運用益に依存します。
要するに、マイホームの場合は、「家賃相当」=資産が生み出している利益となるわけです。
賃貸生活の場合、「家賃」を支払わなくてはなりません。逆に、持ち家の場合は家賃を支払う必要がありません。仮に、家賃を4000万円、年間200万円とすると、賃貸生活を送った場合、20年後には資産4000万円はなくなってしまいます。
一方、マイホームを持っていれば、建物の老朽化などにより価値の減損はあったとしてもこの点では、持ち家を所有するほうが有利に思えます。
ただし、賃貸はの残高がゼロになるというのは「現金で持ち続けた場合」という前提がつきます。たとえば、4000万円を運用していたとすればどうでしょうか?
年利3%:年120万円
年利4%:年160万円
年利5%:年200万円
年利6%:年240万円
利回りによって当然収益性は変わってきますが上記のような「プラスのキャッシュフロー」が生まれることになります。
持ち家の場合、家賃200万円は自分に払っている事になるのです。つまり、Aさんは自分が保有する不動産から年間5%の運用益を得ている。そして、その運用益を家賃として大家である自分に支払っている。と考える事ができるのです。
一方の賃貸派Bさんは家賃200万円を自分ではない大家に支払う必要がありますが、現金4000万円を運用することができるのです。
仮に、運用益が5%だとしたら、Bさんは200万円の運用益を有価証券(株式や債券)から得る事ができ、その運用益を赤の他人である大家に支払うという事になるのです。
家賃を自分に支払うのと、他人に支払うのでは大きな違いが有るように感じますが、経済的に両者は全く同じです。
どちらが、得かどうかについては、投資による期待リターンなどによって変化するだけです。
ちなみに、持ち家には追加の費用もかかる
つけくわえて言えば、マイホームを買ったら家賃が完全にいらなくなるわけでもありません。
「住宅ローンとマイホーム取得・維持の諸費用・税金」でも書かれていますが
・修繕費(積立金)
・管理費(マンションの場合)
・固定資産税や都市計画税
といったように、家を持つことに対しても色々なコストは必要になります。その辺りもしっかりと考える必要があります。