無期限信用取引の罠
前もって断っておきますが、私は別に松井証券を非難、誹謗しようとしているわけではなく、むしろ高収益体質の収益構造を褒めているので、あしからず。また、今回松井証券の名前を挙げましたが、今回の内容はネットで信用取引を行える各ネット証券全体についても同様の事が言えます。
さて、表題の「松井証券が儲かる理由」についてですが、松井証券はネット証券の中で最も収益力の高い証券会社です。同業のイートレード証券と比較してもその差は歴然です。(口座数は圧倒的にイートレード証券が上)
松井証券の社長の松井道夫氏は大変優れた経営者です。ネットが普及した中では、顧客および情報の囲い込みはできないと、顧客第一の姿勢を貫いておられます。
その中の一環として、「無期限信用取引」が挙げられます。
制度信用取引(これまで一般的だった信用取引の形態)では、期限は6ヶ月となっており、どれだけ損をしていても6ヵ月後には必ず決済をしなくてはなりませんでした。
しかし、松井証券の無期限信用取引では、決済の期限がありません。そのため、含み損を抱えている場合は、半永久的に信用のポジションを抱える事も可能です。
「つまり、株価が下がる(信用売りの場合、信用の買いの場合は上がる)まで、ずーっとポジションを持てるわけだ、お得だよね。顧客のことを考えているよね。」
と、まあこう評価されるわけです。
しかし、私は部分的には賛成で部分的に反対の意見があります。
たしかに、6ヶ月でかならず決済しなくてはならないのはタイミングなどもありますので、少し考えたいとことです。ですが、それを無期限にするというのはどうか。とも思います。
理由は簡単、金利(貸株料または品株料)です。信用のポジションを持つということは、証券会社からお金を借りる、もしくは株を借りて取引をします。つまり、信用のポジションを抱えている以上は常にコストが発生しているわけです。松井証券では信用残を抱えている限り、常に金利や貸株料を得られるわけです。(2〜3%)
これが、松井証券が高収益体質を維持できている理由のひとつです。無期限信用取引は確かに便利ですが、金利や貸株(品貸)料もしっかりと考えるべきでしょう。
例えば、証拠金300万円で1000万円の信用枠を立てて取引をしたとき、年間に30万円という金利負担が生じます。証拠金として拠出している金額は300万円ですから、なんと10%!!もの金利が発生して島します。
信用取引は極めてハイリスクな金融商品ですので、その点は注意すべきです。そして、無期限信用取引は「お金を借りている」という意識をしっかり持って投資して欲しいと考えています。
とはいえ、松井証券の信用取引基準は非常にゆるいです。松井証券は担保30万円から始めることができます(参考:野村證券は2000万円以上+取引支店責任者の面談)
つまり、松井証券は貸倒(信用取引している人がお金を返さない)リスクを背負っているわけです。
私はこの点がいずれ大きな問題になるのではないかな。と思います。リスクをしっかりと理解できていない人が無理に信用取引に手を広げすぎて、焦げ付きなんかにならないようにしてほしいものです。
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